かくちゃんは絵を描くのが好きな4歳の女の子。
東京大空襲で家が燃えてなくなると、家族であちこち転々として、鎌倉の借家に移り住んだ。
隣家には、戦争でパリに帰れなくなったスイス人の絵描きが暮らしていた。
彼の名はコンラッド・メイリといった。
フェルディナント・ホドラーに師事し、エコール・ド・パリの一人として活躍した印象派の画家だった。
妻の名はキク・ヤマター日仏混血の作家で、パリの文壇で「ラ・ジャポネーズ」と呼ばれていた。
メイリはキクの献身に支えられ、戦時下の日本で苦労しながら、絵を描き、俳句を作り、画学生たちに油絵を教え、10年もそこに暮らしているのだった。
やがて、6歳になったかくちゃんは、メイリの弟子となる。
「あったかいのいろー。つめたいのいろー」
「だんだーん。だんだーん」
メイリのおもしろい響きの日本語を聞きながら、かくちゃんはまるで吸取り紙のように西洋絵画の基礎を学んでいく。
慎ましやかなモチーフで、ふたりは寄り添い61枚の絵を描いた。
そうして1年が経った頃、メイリとかくちゃんに別れの日がやって来た。
1948年のスケッチブック(全61枚)は、令和元年8月4日、株式会社 聖林公司 (ゲン・垂水 代表 )に寄贈させていただきました。
株式会社 聖林公司 はハリウッド ランチ マーケット を始まりに、中目黒・代官山・恵比寿の地に衣・食・住の文化を発信する老舗企業です。10月から『HOMES’ UNDERWEAR 』にて、毎月1枚の絵がセレクトされ、店内に飾られています。
★株式会社 聖林公司:https://www.hrm.co.jp/
Instagram:homes_underwear
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