2018.11.24 13:32ガラス皿の上のざくろメイリ先生のアトリエで、かくちゃんは畳の上にぺちゃんと座ると、道具袋から色鉛筆と画用紙を取り出しました。目の前には、あらかじめメイリ先生が用意したモチーフが並べてありました。かくちゃんはメイリ先生の弟子になったという真剣な気持ちでモチーフを見つめました。1948年6月2日
2018.11.24 13:31りんごとかぼちゃレッスンはまずはじめに、画用紙に描くもののサイズをメイリ先生が教えてくれます。りんごはここからここ、かぼちゃはここからここって。そのサイズの中にかくちゃんが輪郭を描きはじめると、メイリ先生はその線を確かめてさっさと下に降りていきます。それにしても目の前のりんごとかぼちゃはなんて大...
2018.11.24 13:29煙草とパイプやがて、メイリ先生はアトリエに戻ってきて、かくちゃんの描いた線を確認すると、今度は一緒にその絵に色をつけていきます。「あったかいのいろお。つめたいのいろぉ」「だんだぁん。だんだぁん」繰り返し語りかけ、暖色と寒色の関係を教えます。1948年2月9日
2018.11.24 13:28ワインの瓶と本や果物赤い本のまわりには緑色の影が見える。黄色いりんごのまわりには青い色…。「あったかいのいろぉ。つめたいのいろぉ」メイリ先生の話すおもしろい響きの日本語を聞きながら、かくちゃんは色鉛筆を手に取って、画用紙に向かいます。かくちゃんはまだ小さな子どもだから、まるで吸取り紙のように暖色と寒...
2018.11.24 13:27死んでるカモメ朝早く、浜辺を散歩したメイリ先生は、かもめの死骸を拾ってきて、レッスンのモチーフを作りました。かもめは冷たくなっているのでしょうが、かくちゃんには穏やかに眠っているように見えました。家に帰り、自慢げにその絵を見せると、お父さんとお母さんは「外人は変なものを描かせるねぇ…」と不思議...
2018.11.24 13:26外国の少女の写真レッスンのお終いに、いつものように色鉛筆を虹の色のスペクトラムの順番に並べていると、メイリ先生は1枚のカードを見せてくれました。モノクロの外国の少女の写真でした。そして、かくちゃんに言いました。「これを次のレッスンまで描いてきなさい」はじめての宿題です。1948年3月23日
2018.11.24 13:25黄色いティーポットメイリ先生の奥さんは、菊の花と同じ名前のキクさんで、いつもカチャカチャタイプライターを打っています。かくちゃんがレッスンで訪ねると、「いらっしゃい」と可愛い笑顔でにこっとして、またカチャカチャと音を立て、タイプライターを打つのでした。1948年3月15日
2018.11.24 13:24あじさいある日、かくちゃんはお母さんに叱られて、悲しくてたまらなくなって、二階でひとり泣いていました。かくちゃんがふと顔を上げると、お隣のアトリエの窓からメイリ先生が、心配そうにかくちゃんを見ていました。1948年7月26日
2018.11.24 13:22裸婦メイリ先生のアトリエで、かくちゃんはモデルの女性の真ん前にぺちゃんと座ってスケッチブックを開きました。弟子のお兄さんやお姉さんたちが、後ろでイーゼルを立てて描いています。アトリエにはメイリ先生が描いたたくさんの裸婦の絵があったから、かくちゃんは恥ずかしいということもなく、淡々と絵...